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day29
29日目。身体を壊しそうなほど、濃厚な日々。
day32はこない。限りある日々は、こんなに輝くのか。
その人の所有するお城に特別招待されて降り立てば、仄暗い暖色のライトのなかで、レコードが鳴っていた。小さなグラスにビールを注ぎ足してもらいながら、目を合わせて笑う会話は甘く、ファイナルツアーの最終章にふさわしいものだったな。
格が上がったよという人の、ユーカリは可愛いよ、という声がたまらなく好き
馬鹿みたいなメッセージ
YOUとIを入れ替える
堕ちた恋
レコードに針を落とす指
立って抱き合って見上げる顎
綺麗だよと褒められれば、覚えてて、と強く思う
車止めを打ち込むひとと、
自分の名のつく植物を贈るひと
最後の瞬間がまだ想像できない
きっと、すっと過ぎていって、あとからボディブローのように染み渡ってくるんだろうな。